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どっちも嫌だって選択肢ないのかな?

仕事の合間にたまにネットサーフィンしよく目にするのですが、

使用前使用後の動画をアップしてるショップです。

当社でもたまにやりますが(昔、映画「LOVE LETTER」をアップしたら消されちゃいましたが)。

そして思う事が

「このショップ、ショップの威信をかけてアップしているのだろうか?」



言葉だけで「使用前よりも使用後は物凄く良くなりました。」なら化けの皮が剥がれませんが、動画でアップしてしまうとそのショップのオーディオ的・音楽的教養が分かる人には分かってしまうからです。

私の好みの音が古典的過ぎて(しかし投入する技術はこの業界の最先端だという自負はあります)、世の主流と違い過ぎるのかもしれませんが、多くの場合私は使用前の音、ノーマルの音が好きです。

「ずっと聴いていられる」「聴いているうちに〜が気になりだす」と言う時間的耐久性をベースに考えると、ショップごときが短時間で導き出した音よりも、メーカーが悩みに悩み抜いた音の方が限りなくベストに近いと思うのです。

具体的に言いますと

例えばオーディオ製品の磁性パーツを嫌う人がいます。

それを私は「磁性馬鹿」と言います。

彼らは鉄の天板があればそれをステンレスに変え、鉄ねじがあればそれをステンレスまたは真鍮ネジに変える。

その音を聴いて

「う〜ん素晴らしい」

ってな具合に

しかし実はその音は素晴らしくもなんともない、それどころか酷いのなんのって。

じゃあ、なんで「素晴らしい」と言うかというと、

それは音なんてこれっぽっちも分からない人間であり、聴く前から「素晴らしい」と言う言葉を用意しているからです。

鉄は磁性体でSNは悪いです。

しかし非常にグラマラスで音場音像共にボリューム感があります。

SNは悪いですから、空間に粒子感と言うかノイズ感が漂いますが。

それに対しステンレスは実にクリーンでSN感が高いです。

密度感も鉄よりもあります。

ただブーストをかけたようなボリューム感がステンレスにはなかったりします(当然にステンレス素材でその音の傾向は大きく違います)。

真鍮はステンレスよりさらに筋肉質で中域にピークを持ち、音の消え際が「スパッ」と竹を割ったような感じです。

それを前提に

鉄素材でバランスが整っている状態で鉄素材をステンレスに変えたらバランスが崩れるのは目に見えているのです。

逆に

ステンレスでバランスが整っている状態でステンレスを鉄に変えたらバランスが崩れるのは目に見えているのです。

それでは私はどうするか?

もし鉄で完全にバランスが取れてるところを更に良くするなら私はそこに銅を使います。

音場、音像共にボリューム感がある鉄の音

それは実は銅と同じなのです。

鉄の音からノイズをとり、それを更に向上させた音が実は銅だったりします。

そこに気づけたらしめたものですが、多くの場合無メッキ銅を使う人間がいますよね。

残念ながらこれはアホです。

何故なら鉄と言っても亜鉛メッキなど多くの場合表面処理がされているからです。

正解は鉄+亜鉛メッキの音のバランスまで考えるです。

その答えとして当社は選別無酸素銅削り出し+CNT複合銀メッキだったりします。

私がオーディオ製品をモデファイするとき多くの場合IECインレットを交換しますが、そのインレットを固定するネジ・・・

それぞれ違いますよね。

それは相対的音のバランスを考え、悩みに悩み、何時間も何十時間も時間を費やし決断するからです。

私の尊敬するモータージャーナリストで元日産のデザイナー前澤義雄さんが某メーカーのデザインを評価した時に

「デザインとしては評価するけれど、このデザインにはデザイナーが悩みに悩み抜いた末筆を置いたような、葛藤した跡が見えない。」様なニュアンスを言っていたことがあります。

凄いズキンときました。

それは私が最も大切にしていることだからです。

悩まず簡単に答えを出し、まぐれで最適解を出すメーカーや人間もいると思いますが、そんなの続くわけがない。

「奈良岡の音って、みんな同じ音がする。」とよく言われますが、それは悩みに悩み抜いているからです。

年始に「いけるかも」、試聴1時間後「う〜んやはりこれでは自分が納得できない」と一旦没になりながらあれこれやりながら年末に発表したXP-CIN

http://log.zama-dolphin.jp/?eid=63

発表から3年も要したXP-RAPC

http://blog.zama-dolphin.jp/?eid=718

の様に。

と、ここまで書いたところで、このブログの題名「どっちも嫌だって選択肢ないのかな?」って事に気づきました。

ブログの出だしに戻りますが、

多くの場合使用前・使用後では使用前の方が良いと思う自分ですが、たまに使用後の方がいい場合もあります。

ただ使用前40点、使用後60点

そして使用前は使用後に総合評価で劣るけれど使用前が優ってる部分も。

これ聴いてしまうと使用後の方が総合評価が高くても負けてる部分が気になりだすのです。

そうなると思うわけです。

「使用後にする必要あるのかな?」と

私的にはどっちも嫌だという結論になってしまうのです。